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SDGsと技能実習制度

【1】.SDGsとは何か

最近、SDGsという言葉を見聞きする機会が増えてきました。実は、SDGsは、iforceの事業に、そして、技能実習を担う皆様に大いに関わりがあるものなのです。

そもそも、SDGsとは何なのでしょうか? SDGsとは、2015年9月の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。これは、国連加盟193か国が合意した、持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。SDGは、2030年を目標年とし、具体的な17の目標から構成されています。

SDGsは国連で合意されましたが、その取り組みは政府に任せておけばよいというものではありません。SDGsの重要な点は、各国の民間部門を、課題解決を担う主体として位置づけていることです。世界の民間部門が、それぞれに目標に向かって取り組みを進めていくことが期待されています。このため、日本の企業や団体の間でも、SDGsが設定する目標を経営戦略に取り込む動きが広がっています。

【2】.SDGsにおけるiforceの優先的ターゲット

SDGsの17の目標のうち、iforceが優先的に取り組む4つのターゲットとその主な内容は、次のとおりです。

目標1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。

○貧困状態にある者の割合を半減させる。

目標4:包括的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。

○全ての人が質の高い技術教育、職業教育、高等教育へ平等にアクセスできるようにする。
○働きがいのある人間らしい仕事や起業に必要な技能を備えた若者と成人を増やす。
○脆弱層が教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。

目標8:包括的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。

○雇用創出、起業などの支援策を促進するとともに、中小企業の設立や成長を奨励する。
○全ての人に働きがいのある人間らしい仕事を実現する。
○就労、就学、職業訓練のいずれも行なっていない若者を減らす。
○労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。

目標17:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。

○開発途上国への技術の開発、移転、普及を促進する。
○開発途上国のSDGs達成のため、専門的知見、技術、資金を動員し、グローバル・パートナーシップを強化する。

【3】.SDGsと技能実習制度

いかがでしょうか、技能実習制度は、上記の4つのターゲットの趣旨に適うものではないでしょうか。
技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。技能実習の修了生には、日本で修得した技能を本国に持ち帰り、移転することが期待されています。それは、母国での人材開発、企業発展、起業促進、雇用創出につながり、その国の発展に寄与することが期待されます。

関係者の皆様は、日々の技能実習を通して、実は、SDGsという世界全体が目指している目標の達成に向けた国際協力の一翼を担っていると言えます。技能実習制度がこのような意義を有していることを受け止めていただき、充実した指導に当たっていただきたいと考えます。

上村俊一(弊団体 非常勤理事)

1981年、旧労働省に入省。海外労働情報室長、中央労働災害防止協会国際センター所長、ILO駐日事務所次長等の国際関係業務に従事。ILO総会に5回出席。2018年、社会保険労務士事務所S&U労働コンサルティング代表。

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